美術部の共同作業
私は学生時代に美術部に所属していた。
絵を描くのは小さい頃から好きだったが、一番の理由は「朝練がない」と言う不純な動機だった。
部員数も多くなく、顧問の先生もそんなに熱心ではなかったように思う。
デッサンや構図についてなど、絵の描き方についての細かい指導はほとんどなく、大まかなテーマの中で各自好きなように活動していた。
それでも、画材の使い方や授業では習わない技法を教わる事ができた。
どんな部活に入っても、気になるのが先輩との関係だ。
先輩との関係が悪くなると最悪の場合2年間は肩身の狭い思いをする。
私の場合は、部員数が少ないここと1つ上の姉がすでに美術部に入部していたこともあり、その点全く苦労がなかった。
普段の美術部の活動は各々自分の絵を描いたり、画集を見たりすることだったが、文化祭と卒業式には壁画代わりの大きな絵を描くことだった。
絵のテーマは先生が決め、各々そのテーマに沿ったスケッチを行う。
そのスケッチの中から多数決でいいと思うものに決めて色なども話し合い決めてく。
普段はバラバラに活動しているが、この時ばかりは部員一丸となって模造紙をきれいに張り合わせ、畳10畳ほどの大木さんの紙を作る。
スケッチを元に下絵を描き、手分けして着色をしていく。
普段は朝練のない部活だが、この時期だけは朝早くから集まり作業を行った。
大きな絵は描いている時は全体像が把握しにくい。
完成して吊り上げた後、離れた場所から見る共同作業をしたその絵はとても綺麗で誇らしい気持ちになったものだ。
私の絵
お恥ずかしい話ではあるのですが、私には全くといっていいほど絵心というものがありません。
私が描いた絵など子どもの落書きも同然レベルと言っていいくらいなのです。
なので学校の美術の時間などは大変でした。
学生時代のある時、美術の時間に生徒それぞれが絵を描いてクラスメイトの前で発表するという授業がありました。
ハッキリ言って苦痛以外の何者でもなく、事前に知っていたならば仮病で休んでいたかもしれないほどです。
どうにかこうにか描きあげた作品は自分の目から見ても酷い代物でありました。
これはもうクラスメイトに馬鹿にされるのが目に見えていたのですが、ある意味ではそれより酷く彼らの反応は無反応であり私の絵に対するトラウマを強く印象付けることとなったのです。
それからというものの絵というものは私には完全に向いていないのだと考え、その手のものには全く触れずに今までを過ごしてきたのですが最近になって考えが変わってきました。
自分のイメージしたものをそのまま絵やイラストで描くことが出来るというのは本当に楽しいことなのだろうと。
思い返してみれば私の絵に対するイメージは苦手なもの、嫌いなもの、というばかりで絵を描くということの本当の楽しさなど考えたこともありませんでした。
もっとも考えが変わったところで絵の腕前が上がったわけではないのですが。
しかし自己投資の一環として、絵というものを習ってみるのもいいかもしれないとも考えています。
すぐに実行に移せるわけではありませんが、いつの日か人に見せるに値するような絵が自分で描くことが出来たならば本当に嬉しいことだと思うのです。